2012-01-01から1年間の記事一覧

こんなこと、あんなこと。

しなもんが生きていること。アイコンタクトでつながっていること。好きなものに囲まれていること。家で呑むコーヒーがおいしいこと。着物と帯のことを考えると心が浮き立つこと。京都にいるのが誇らしいこと。優しい友だちがいること。愉しさや大変さを分か…

生と死を見つめて...。文藝春秋12月号「死の床の医師と宗教学者『感動の対話』」を読んで

『文藝春秋 12月号』(発行:文藝春秋、2012月12月1日)の特集「日本人のための宗教」に、こころの未来研究センター カール・ベッカー教授と岡部健医師(医療法人爽秋会理事長、東北大学医学部臨床教授)との対談記事「日本人の魂はどこにいくのか 死の床の…

東大路と鞍馬口の交差点で

クルマで東大路通りを走っていて、鞍馬口との交差点が見えてきたとき、ふと妙なノスタルジーに襲われた。ああ、このなんでもない風景を、もしもこの土地を去ってしまった後に再び訪れて見たならば、とてつもない懐古の思いと愛おしさを感じるのだろう。失っ…

ゆきちゃんと天神さんへ

着付けを習い始めてはや二ヶ月半。ようやく外出できるようになり、今日はゆきちゃんと天神さんをそぞろ歩きしました。10年ぶりぐらいかな、天神さん。あいかわらず古いもの満載の屋台が楽しい。ゆきちゃんは、保育園で知り合った仲良しです。いつも着物を自…

Sunday Dinner

昨夜は保育園関係で仲の良いおうちに招かれて、ご主人の手によるフレンチフルコースを頂きながら楽しい夜を過ごしました。子供たちは別室で騒ぎ、大人はワインを傾けながら語らって…。もてなしのスタイルはもとより美意識にあふれた和のインテリアなど、ホス…

浮世と憂き世と能

かねがね、浮世(うきよ)という言葉に違和感を感じていた。「あの人は浮世ばなれしている」「ひととき浮世を忘れてすごす」...。そんな表現を使うたび、「あれ、浮世って”この世”のことで合ってたっけ」と用法に若干の不安をおぼえていた。浮世というと、そ…

北大路カフェジーニョ

今から12年前、半年ほどカフェで修行をしたことがある。同棲中の彼は大学院をやめ、カメラマンで生計を立てていた。いつかは自分で会社を起こしたい、という目標を立てての準備期間だった。まだ起業の見通しは立っておらず、彼はあけてもくれても撮影のため…

「原発と潜在認知」

9月5日から7日にかけての3日間、私の務めるセンターで「こころの科学集中セミナー 原発と潜在認知」という短期集中型の講義が行なわれています。カリフォルニア工科大学の教授で、センターの特任教授でもある下條信輔さんが、自身の専門である認知心理学を通…

秋きたる

週があけて、風も雲も空もすべて秋のものになりました。今年の夏は暑かった。そして例年になくキラキラと充実した季節でした。人との出会い、ふれあい、学び、気付きに満ちた夏休みでした。ひとつの季節を終えて、涼やかな風にふかれると少しセンチメンタル…

能「楊貴妃」狂言「因幡堂」

かねてから行きたいと思っていた能を観に京都観世会館へ出向いてきました。家から自転車で行けるところに能楽堂があったのに、今までとんと関心がなくもったいないことをしていました。まず中に入り、屋内にしつらえられた能舞台の美しさに息をのみました。…

カラマーゾフの兄弟

i文庫というiPhoneで読める青空文庫から『カラマーゾフの兄弟』を読んでいます。 ドストエフスキーが残した最高傑作とされる本ですが、20代はじめの頃に手にしたときは、一体なぜこれが普遍の名著と呼ばれるか全く分からず、またたくまに挫折しました。 しか…

ブログタイトル変更、大文字、文化の吹き溜まりにて

ふと思い立って、ブログのタイトルを変えてみました。最近、「こころ」という言葉が私にとってぐんと身近になりました。こころのありか、こころの仕組み、こころのなりたち、こころがあるゆえん、こころとこころの関係性。それらを研究するセンターで働くよ…

ハッピーなゴールをめざすために

一緒にいて気持ちのいい人って、やっぱりどんな状況でも人に対して攻撃的にならない人なんじゃないかなあ。仕事でも、プライベートでも、どんなときでも、常に「幸せなゴール」を目指せる人がいいなあ。どんなときにも、互いの「言い分」っていうのがあるし…

好きになれる自分が好きだから幸せ

片思いとか、アイドルやスターへの憧れとか、そういうものに対して全く理解不能だった。「たんなる一方通行で自分の思いが伝わらない、受け入れられないなんて、ありえない」。愛するなら愛されなくては。焦がれるなら焦がれられてなんぼ、と思っていた。ギ…

復帰第一弾、思いがけない再会

6月から仕事をさせてもらっているセンターでの大きな講演会の仕事を終えました。「こころの広場」という京都府との共同企画で開催したイベントで、生物人類学者の内田亮子さんと脳科学者の入来篤史さんに講演いただき、私は司会進行をつとめました。「進化の…

気の抜けた夜中のつぶやき

明日はとても大事な講演会の仕事があって、その準備でひさびさに夜更かしをした。まだ神経がピリピリしているので、眠くならない。かたわらではしなもんがスーハーシーハーという変な寝息をたてて眠っている。私の頭の中のことを考えている。私は記憶力が異…

自分の殻からぬけだして

先週末から4日間、息子と共に新潟の妙高高原まで旅してきました。現地には笹ヶ峰ヒュッテという京大山岳部OBが建てた素敵な山小屋があり、誘ってくれた息子のクラスメイト一家やその家のご友人たちと共に、高原の時間を満喫してきました。行きはちょうど東京…

8月

人はどうして人を殺せるのだろうか。名無しの人であれば、知らない人であれば、殺しても罪を感じないのだろうか。 自分と関係のない人であれば、どれだけ殺しても構わないと思うのだろうか。 戦争という名目であれば、誰かの命令であれば、それが使命だと思…

幸せはこの手のなかに

4才になる息子は最近折り紙にはまっています。とりわけ手裏剣(しゅりけん)を折ってもらうのが好きで、ことあるごとに「しゅりけんおって」とせがんできます。 先日も例によってリクエストがあり、せっせと折ってあげていたのですが、すでに5つも6つも出来…

年を重ねた息子と天使になったあの子

8月1日で息子、トッキーが4才になりました。 彼を産んだ日も朝からセミがジリジリ鳴く真夏日でしたが、波のように押し寄せる陣痛のせいで冷や汗が出て、暑さなどまったく記憶にない一日でした。 あれから4年。子供に翻弄され、自分の未熟さに打ちのめされ、…

まだ歩き始めたばかりだけど

hacobu kitchenで遅めのランチを食べている。 ここ数日、体がだるくて目覚めも悪くて、どうにもこうにも疲れの取れない日が続いていた。そんなときに食べたくなるのがハコキチのランチで、今日も滋味たっぷりのお味噌汁やトマトのマリネやさんまの照り焼きや…

酷暑のつぶやき

君も暑いよね。 僕もすごく暑いんだ。 お互い毛皮がたまんないよね。 祇園祭とか山鉾とかいって騒いでるけど、この暑さと天候不良をなんとかしてほしいよ、まったく。 計画停電とかいって電気とめられたらまっさきにバテるのは僕らとお年寄りだよね。 早く安…

高桐院にて

大徳寺、高桐院にいる。戦乱の世に精神の救いをキリスト教にもとめ、意思を貫き洗礼を受けた女性、細川ガラシャの骨がおさめられた場所。関ヶ原の戦いを前に、石田三成に人質に取られることを拒み、38歳で自らの命を断ったガラシャの生涯を思う。世渡りと戦…

ただ美しさのために草を取る

毎朝、20分ほど庭の雑草取りをしている。 ほおっておいたら色んな草が伸び放題になってしまう。 以前は丸一日かけて草取りをしていたけれど、まとめて作業をすると、しばらく庭に立つのが嫌になってしまう、でまた何日かすると草まみれになる悪循環。 なので…

鳥瞰

会社からの帰り、自転車をこいでいたら、ふと見上げたその先に、鳥の姿があった。 鴨川ぞいの教会の、屋根から空へとのびた十字架のてっぺんに、一羽たたずむトンビ。 風にふかれても微動だにせず、遠くを見つめる。孤高の佇まい。 ああ〜いいなあ。鳥瞰って…

こころの未来研究センター

今日から新しい仕事が始まりました。 写真はデスクからの眺め。 こころの未来研究センターという、京都大学の研究機関で広報を担当します。センターは、心理学者を中心に、異なる研究領域をもつ研究者が集まって「こころ」に関する研究をするユニークな学術…

知らないことを知ってしまった私の旅

うすうす感じていましたが、私は何も知らない人間でした。 世界への、今生きる社会への、歴史への、文学への、自然への、哲学への、科学への、先人への、身近な人への、あらゆる事象への、つまるところ「自分以外」のことへの関心を向けたとき、はたと気付い…

Follow your bliss

今日はとても印象に残る言葉に出会いました。 “Follow your bliss and the universe will open doors for you where there were only walls” (あなたの至福を追求しなさい。そうすれば宇宙はあなたの前に壁しかなかったところにドアを開きます)。 神話学者…

小さな旅を重ねるように暮らしたい

生きることは、一瞬の出逢いと別れ(分かれ)を重ねること。人だけではない。風景や、季節や、言葉や、想いなど、 さまざまなものと出逢って、そして別れる(分かれる)。 あとには「感じたこと」だけが残る。出逢いと別れ(分かれ)のない人生など、送りた…

怒りは小出しにしたほうがいい

3才半のひとり息子と暮らしています。育児中の親なら誰でも「子供が言うことを聞かない、こちらの思う通りに行動しない」と感じているはずです。我が家もまったく同じです。 これから書く「靴の履き脱ぎ」に関する今日の出来事は、客観的にみれば本当にたい…