Voice4uの取締役を退任、退職しました。それとイワンのばか。

うおおお。気付いたら昨秋からブログを書いていなかった(Pro代金払ってるのにww)。

というわけで、近況報告をします。Facebookにも同じ内容を書いていますが、ブログの方にも書き残しておこう。

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2018年から日本法人の立ち上げメンバーとして活動したVoice4u株式会社を6月末で退職しました。

振り返ると、2013年に上場を目前にした「はてな」を辞め、子どもを1人で育てながら京都大学こころの未来研究センターでウェブ広報を5年務めた後、心に穴の空いた状態だった私にメッセンジャーで「日本法人を立ち上げないか」と声をかけてくれたのが、シリコンバレーの Voice4u, Inc. の久保由美さんと樋口聖さんでした。

「大好きなシリコンバレーと再びつながることができる!」生命力を失いかけていた私が一気に活力を取り戻し、はてな時代にお世話になったKRPさんとの関係も復活し、京都のビジネスコミュニティに加わって、微力ながらも創発の場を盛り上げるお手伝いができるようになりました。

過去の経験をフルに使ってコミットしたVoice4uでの4年間、後半はコロナ禍で思うような活動ができませんでしたが、その期間に出会ったのがコーチングとアントレプレナーシップ教育でした。

私がこれまで起業家とスタートアップを支える中でやってきたことは、「変化したい」「成長したい」「コトを起こして社会にインパクトを与えたい」という人に対するコーチング的な関わりであり、起業マインドを伝えることが喜びだと気付きました。コーチングはまさに天職だと実感しました。

そこで、シリコンバレーの2人には私のわがままを受け入れてもらい、Voice4uを離れてコーチングの道を歩むことにしました。

今後ですが、夏の間は充電し、息子の誕生日である8月1日には新しい会社を1人で立ち上げる予定です。

事業はコーチングを中心に、多くの人が自分らしさを全開にして様々なことにチャレンジできる、より自由な社会になるための「人づくり」「創発の場づくり」の支援をしていきたいと思います。

多くの起業家の振る舞いを目撃してきた経験を活かし、若者に「起業しなくても起業マインドを持つことは生きる戦略として有効だ」ということも伝えていきたいです。そのために、様々な企業や団体と協業し、誰もがアントレプレナーシップを持ち、つながる力とレジリエンスのある人を増やすためのお手伝いをしていきます。

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ところで一昨日、私の心の友であり年下ながら師匠と仰いでいる Saya Yukimoto が、トルストイの「イワンのばか」の物語に関する話をしてくれました。それ以来、ここ数日は「イワンのばか」のことばかり頭にこびりついています。

イワンは三兄弟の三男ですが、愚直すぎて汗水たらして働くことしか知りません。兄たちからも金品を奪われ迫害にあいますが、イワンは心優しく様々な人を助け、挙句、王女を助けて王になります。そんなイワンですが王になっても汗水たらして働かないと生きた心地がしないと言って王女と共にせっせと働きます。

> イワンの王国の掟は「働いて手に胼胝(たこ)がある者だけ、食べる権利がある。手に胼胝(たこ)のないものは、そのお余りを食べよ」と言うことだけだった。

(ウィキペディア「イワンのばか」あらすじより)

最後には悪魔がイワンの国を襲い、民衆を堕落させようとします。悪魔は「手で働くより、頭を使って働けば楽をして儲けることができる」と人々をそそのかそうとしますが、イワンの国の民はみんな働き者で暮らしも満ち足りており、しまいに悪魔は演説していた高いところから落っこちて頭を打って死んでしまいます。

... みなさんは、この話から何を感じるでしょうか?

私は、ああ、イワンのように手にたこを作り続けて老いていきたい、それでいいんだ、と目が覚める思いがしました。

このところ、年齢や経験を盾にして、つい頭だけで言葉だけで立ち回ってしまう自分がいて、周囲もそれを私に求める機会が増えてきました。しかしもう一度、自分の手で、自分の価値観のもと、届けられる範囲は小さくても、せっせと働いて人々に価値を届けていきたい、手にたこをいくつも作って。と、強く願う私がいます。

1人では大きなことはできないけれど(快楽主義なので生産能力は低いけれど)、それでも愚直に自分のミッションを果たしていきたいです。気付いたら仲間と共に、何か社会のためになっていたらいい。今、私にはそれができる仲間がたくさんいます。

しばらくはボーッとしていますが、コーチングやファシリテーションはコンスタントに続けていきます。興味のある方はご案内を差し上げますのでご連絡ください。

なお今後、仕事で使っていたメールは使えませんのでメッセンジャーなどでご連絡ください。

これからもよろしくお願いいたします!

退職前日に行った京北町の森