夕方、ちらりとはてなをのぞき、久しぶりに会ったひとと立ち話をして、待ち合わせの店に向かった。
店は三条あたりかと思ったら、四条の南だったので、高瀬川べりをぶらぶら歩いていくことにした。
汚い街中に流れる高瀬川の清々しい存在がなければ、どうにかなっていたかもしれない。それくらい、蒸し暑い夜だった。
ゆるゆると川の流れにそって南下していると、旧土佐藩の碑と遭遇した。ああ、ここがそうなんだ。志を持った藩士たちは、高瀬川べりをえいやえいのと闊歩したのだろう。彼らに今の街を見せたら。どれだけ驚くことだろう。
街も人も変わっていく。去る人は去り行く。運命は定められていて。私はただ、黙って受け入れるだけ。いつもそうだ。
待ち合わせの店では、すでに仲間たちがテーブルに到着していて、それぞれに優しい笑顔で迎えてくれた。
切なさやら戸惑いやら、いろいろな感情をいったん棚上げにし、スプマンテを注文した。仲間たちは、どこまでも温かかった。
そういえば、家に帰り着くまでに、一度も月を見なかった。