写真日記 2013 - 2014

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さよなら2013年。吹雪とともに哀しみも不安も消え去ってしまえ。昨年の12月はとりわけ寒さがこたえた。身体の芯からブルブル震えるような嫌な寒さだった。色んなものに追い立てられて、プレッシャーが強かった。不思議と夢はみなかった。みる余裕すらなかったのかもしれない。でもそれも今は思い出に。すべては一瞬の吹雪。アスファルトに落ちてすぐにとける湿った雪のように、私を追い立てていたものたちも、気付けば消えてなくなってしまった。


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「れいこさん、忘年会にきませんか?」とカウンター越しから誘いをもらい、知らない人たちがたくさんいる忘年会に参加した。骨董品店とにこみ屋を営むオーナーの家は、彼にとっての「あり」しかない、こだわりの住処だった。出てきた器はやはり骨董か作家ものだけで、手になじむ美しいものばかりだった。「ぼく、洗うのが好きなんですよ」と汚れた皿やコップやおちょこを全て自分で洗うオーナー。大切そうに、いたわるように器を扱う様子に感動をおぼえた。自分にとっての「好き」が明確にある人が羨ましい。私ももっと、きっぱりと「好き」を選び取れるようになりたい。


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大晦日、前夜の忘年会の二日酔いを引きずりながら堺へ。母が作ったおせちをフライングでつつきながら、父の打った蕎麦をいただいた。こうして母の手料理と父の蕎麦が食べられるのは、あと何年だろうか。いつまでもあり続けると思ってはいけない。母の味をひとつも受け継いでいない焦りを感じながら、長年食べ続けているお煮染めや黒豆をしみじみ味わった。


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この日は朝から自転車であちらこちらを走り回った。全ての用事を終えたのが夜9時半だった。東大路通りを南下する途中、どうしても身体を清めたくなり、コンビニでタオルと下着を買って「しののめ湯」にとびこんだ。夏以来、4ヶ月ぶりだった。脱衣所のテレビでは紅白をやっていて、きゃりーぱみゅぱみゅが歌っていた。前回はボクシングをやってたっけ。あれからずいぶんと色んなことがあったなあ。湯船につかってぼんやりしていたら、色んなものがほぐれてほどけて心地よくなった。銭湯、思いつきでとびこんで、正解だった。


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京都で年を越すのは何年ぶりだろう。銭湯から戻ったあと、ギンガムチェックの綿着物に着替えてココボンに向かった。「京都のお雑煮をふるまうからおいで」と誘われていた。白味噌に丸餅が入った京都のお雑煮、実は生まれて始めて食べるからとても楽しみだった。秋口からお茶の稽古帰りに立ち寄るようになったカウンターの店は、ちるぽよさんのなじみの店で、彼の書く小説のようなブログに店の名が出てくるたびに行きたいなあと思っていた。「もんちゃん」や「ほりかわさん」や「あけみさん」といった登場人物が気になって、実際に会いたくなって9月に店を訪れたら、戸をあけた瞬間にあけみさん(すぐわかった)がニコッと笑って迎えてくれて、以来、私のホームになった。京都のお雑煮は、白味噌がとろりと濃厚でお餅は柔らかく、くるりと結ばれた三つ葉の香りがよくて美味しかった。「初詣、いこかー」とほりかわさんのひと声で、もんちゃんとなまちゃんと一緒にココボンを出て、祇園をぶらぶらして八坂さんに向かった。八坂さんが入場規制していたから、ほりかわさんのアイデアで清水へ向かった。もんちゃんがフランクフルトを食べたい食べたいというので、みんなでアツアツを食べた。三年坂を登っていたら、観光気分が盛り上がってきた。階段をのぼったところにあるおまんじゅうやさんで、またもんちゃんが食べたい食べたいというので、とうふまんじゅうをベンチに腰かけてみんなで食べた。清水の舞台からは、京都タワーがピカピカ光って街の夜景が美しかった。来た道とはちがうルートでぶらぶら下っていたら八坂の塔が眼前にあらわれて、うわあ、すごいと素直に感激した。目の前を3人が寄り添うように歩いていて、この人たちとは夏まではまったく面識がなくて、なのに今では一緒に年を越して一緒に初詣に出かけていて、年齢も仕事も住まいもバラバラで、そんな淡く不思議な縁が愛おしくなって、かじかむ手でiPhoneをかまえて写真を撮った。八坂さんの入場制限が解かれていたので、にぎわう境内をそぞろ歩いて参拝した。お宮付近は人混みでごったがえしていて、気付くともんちゃんが消えてしまった。「もう見つからないかな」「先に帰ったかな」と残った3人で話しながら参道を逆行して祇園方面に歩いていたら、ニコッと笑って現れた。トイレに行ってたんだそうだ。突然いなくなるのって、嫌だなあと思っていたのでほっとした。せっかく一緒に初詣したのだから挨拶してから分かれたいものね。気付けば夜中の4時を過ぎていて、川端四条でさよならをした。佳い年越しだった。


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元旦の夕方には、なんでやねんと長山夫妻ともてめんトータス夫妻がやってきて、新年パーティ。なんでやねんはにごり酒、もてめんトータス夫妻はクラブハリエのバウムクーヘン、長山夫妻はビールとアイスクリームの差し入れを持ってきてくれて、完璧なラインナップだった。東京にはてな本社があった時代にアルバイトで来ていたもてめん青年が、こんな風に奥さんといっしょにやってきて仲睦まじい姿を見せてくれるのが嬉しくて、なんともいえぬ感慨を味わった。歳月は人を変えていく。バウムクーヘンのように年輪がかさなるごとに人生が豊かにふんわりと柔らかくなるといい。


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そんなわけで、ようやく年始のブログを書くことができました。今年のテーマは、自分の内から湧き出る自然な感覚を大切にすること。私のための人生だから、人に迷惑をかけない範囲で私の「したい」「欲しい」をそのまま生き方に反映させてみたい。そうすれば、私による私のための幸福が手に入るような気がします。そして何より、大切な人たちと共に生きることを最優先したい。

2014年もよろしくお願いします。