無花果のお礼 〜友だちへ〜

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友だちへ。

昨日は無花果のお土産とお見舞いをありがとう。

柔らかい果肉にアイスクリームをひとすくいかけて食べたら、身体の内側に優しい精霊が入りこんだようでした。甘くて冷たい愛に満ちた成分が、火照った細胞のひとつひとつに、すみずみにまで行き渡るようでした。

何気ない日々の暮らし。抗うことのできない運命の波に揺れる笹舟のような人生。
見えない未来の絵を必死で描こうとして、選ぶ絵の具に迷って、ますます分からなくなるこの頃です。人生はいつも私を驚かせます。時に不幸にします。そして途方にくれます。あなたもそれを知っていますね。

けれど、おかしなことなのですが、気づけば(最終的には)笑っている自分がいます。空を眺めて「綺麗だな」と呟いている自分がいます(昨日の夕暮れの空は、ことのほか美しかった)。

そう、人生は私たちにたくさんの話題を提供してくれる。厄介で愉しい運命演出装置。さんざん語り合って、最後に「なんとかなるものね」と笑い合える、それが演者の醍醐味。

友だちへ。
あなたの存在に救われています。

残りの無花果は、グルメな友人が薦めるように、パルマ産の生ハムと共に味わおうと思います。冷えた白ワインと一緒に。窓を開け放って。秋の夕風と共に。