もっともっとシンプルに生きたい。
来年の抱負をのべるとしたら、もうそれに尽きる。
シンプルに暮らしたい。
ものを手に入れることはその瞬間至福だけれど、のちの維持とメンテが大変だ。
多くの人とつきあうことはその瞬間快楽だけれど、のちの維持とメンテが厄介だ。
シンプルに生きたいと思い始めたら、おのずと何を残したいか考えるようになった。
何を残したいか考えるようになると、ものごとに優先順位をつけるようになった。
一日は二十四時間で限りがある。胃袋に許容量があるように、こころのそれにも限りがある。
だから選び取る。切り捨てる。
幸い私はかなり自由だ。自由に色んなことを選び取れる。切り捨てられる。
だからこそ慎重にならなくてはいけない。ゆがんだ取捨選択によってゆがんだライフにならないように。
今日は橋を渡ったのに、鴨川の風景に目を向けることすらしなかった。
先週、荒神橋から眺めた北山の山肌はうっすらと白かった。
きっと今日見ればもっと雪化粧が濃くなっていただろう。
美しい景色を眺める時間、誰かの人生の物語に耳を傾ける時間、詩をつむぐ時間、愛をはぐくむ時間。
そんな時間に満たされた人生にしたい。来年はもっと。
色々な現実的な物質的な義務的なものごとや意味のない条件たちを切り捨てて。
そして京都というこの街に、小さな物語を提供したい。
誰に知られなくても良いから。北山の雪のように、ひっそりと確実に重ねてゆきたい。
私という主人公と、大切な人たちと共に。