締めくくりはPPAPだった。
大学の送別会で20人分の料理を作り、ウケをねらってりんごとパイナップルと棒状のクッキーをチーズケーキの上にあしらったPPAPケーキと称するデザートを作ったのだった。
大学の研究者のことだからピコ太郎を知らない人もいるに違いない、と踏んだら案の定当たって、
「PPAP?なにそれ?IAAP(国際分析心理学会の略)なら知ってる」
「ええっ、PPAP知らないんですか?」
といった会話があちこちで聞こえ、ほくそ笑んだ。おかたいアカデミックのパーティで私ができるささやかな演出だ。
前置きがながくなったが、やっと、やっと我が家からりんごが無くなった!
この秋冬は、宅配の定期注文を思いきりミスって毎週のようにりんごが届き、りんごに追われまくった日々だった。
火曜日ごとにりんごが箱で到来し、夢にりんごが出てきそうな勢いだった。一時は iPhone のりんごマークが目に入っただけで憂鬱になるほど、りんご消費へのプレッシャーにさいなまれた。
一個たりともりんごを腐らせぬため、様々なお菓子にした。
役立ったのは、ドイツ料理専門家の門倉タニアさんの本やりんご専門のレシピ本。質実剛健なドイツの素朴なお菓子にはりんごが多用されていて、参考になった。
りんごのお菓子 (エイムック 2712 ei cooking)
- 作者: 齋藤真紀,ei cooking編集部
- 出版社/メーカー: エイ出版社
- 発売日: 2013/10/16
- メディア: ムック
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あと、ここには写真がないけどサラダだけでなく豚肉料理にもりんごを活用した。美味しいのはポットロースト。厚手の鍋で豚かたまり肉を焼き、りんごと玉ねぎなどの香味野菜を加えて白ワインかブランデーをふり入れて塩胡椒とローリエと共に蓋をして弱火で1時間ほど煮込む。いかにも冬の西洋田舎料理だ。
それから息子がインフルエンザになったときは、すりおろしりんごが大活躍だった。
以前に元夫の家に滞在していたとき、お腹をこわした息子に(元夫の現在の)奥さんがすりおろしりんごを食べさせてくれたらしく「あのすりおろしりんごがいいー」と病床の息子からねだられ、以来、うちでも体調の悪いときはすりおろしりんごが活躍するようになった。
ほかにもれんこんの塩いためやポテトフライなど、あちらの手料理をこちらでねだられて、そのままうちの味になる現象が多発している。また逆もあるようで、母の味と義母の味が混在する息子の「食歴」はずいぶんと多様で複雑なものになりそうだ。
家で食べる以外にも、たくさんの人にりんごのお菓子を作って贈った。りんごが嫌いな人や食べられない人はまずいない。低コストだけど喜ばれるお持たせになった。
消費するのに大変だったが、旬の果物をたくさん工夫して食べたことは、季節と共に暮らす人間の原点に近付けたようで結果的に良かった。
最後に、誰でも作れる煮りんごの作り方をご紹介。
りんごを好みの大きさにカットする。ふだん食べる大きさのまま煮たら、そのままデザートに出来るし、小さいくし形にすればヨーグルトのお供やケーキの材料になる。鍋にりんごを入れ、好みの量の砂糖をふり入れる。あっさりが良いならりんご一個に対して大さじ2〜3杯ぐらい。あればブランデーやラム酒、レモン汁などをふりかけてザッと混ぜて中火にかけ、水分が出てきたら弱火でコトコト、りんごがクタッと半透明になる程度まで煮る。
冷蔵庫で冷やしていただくと美味しい。1週間は持つ。砂糖が多ければもっと保存出来る。
そういえば、息子が初めて口にした固形物もりんごだった。夢中でかじって、そのあと盛大に軟便が出た(失礼)。
以下、成果の一部をアッピール!主にりんごスイーツ写真だよ。