自粛生活における心の変化

新型コロナウィルスによる自粛生活。個人的には通っていたスポーツジムに行くのをやめた4月中旬からが本格的な自粛期間だったといえる。

自分の感じたことをざっくり時系列でまとめると、最初の2週間ぐらいは仕事は最低限にし、家族とこれからどのように自粛期間を過ごすか知恵を絞りながら、三度の食事を作ることや巣篭もり生活に向けた計画を立てて過ごした。

その時期はまだ生活の変化でテンションが高かったように思う。運動も意識的にしなければ、とマンションの階段を登り下りしたり、Youtubeで筋トレ動画を見て家でやったり、息子をけしかけて朝からラジオ体操をするなど、前向きに体を動かすようにしていた。

Zoomを使ってせっせとイベントを開催する人や、オンラインで活動する様子をSNSで発信する人たちの投稿を見るたびになぜかテンションが下がり(下がり、です。上がり、ではなく)、オフラインでの日々を慈しむように引き篭もった。時間的なゆとりもできたし、読書や学びの量を普段より増やし、これまでやろうと思ってもできなかったことにトライしようと目論んだ。

ゴールデンウィークが始まったあたりからは、顧客とのオンラインコミュニケーションが通常モードになり、それなりに打ち合わせも普通にこなすようになった。お客さんの方がようやくオンラインにシフトできたので、足並みが揃ってきた。一方で当初、満喫できると思っていた自分の時間がそれほどなく、思ったほど本も読めず、1人の時間がないことに気付き始めた。

自粛という非日常が日常になるにつれ、自分のなかで「何かせねば」という特別な気持ちが急速になくなり、エネルギーレベルがどんどん下がっていくのを感じた。そして運動量は減り、酒量は上がり、精神的なムラが増え、鬱的な期間に突入した。自己研鑽しようと企てていたことも思ったほどはかどらず、それがまた鬱を増長させた。

ゴールデンウィークが明けても自粛要請は解除されず、家族以外はほとんど誰とも会わない日々が続いた。このあたりが最も鬱々としていたように思う。

時間が十分にあるようで、実際は全然ない。休校中の息子やフルリモートワークになった同居人の世話をしたり、五月雨にやってくる仕事のメール、チャット、人からの相談などに対応するだけで、気づけば夕方になっている。夜の食事とアルコールが大きな楽しみだが、運動不足のため空腹にならないないせいでビールも料理もそれほどおいしくない。けれども惰性で食べて飲むので体重は増える。

この憂鬱はなんなんだ?少し考えてみた。

そこでわかったのは、自粛生活だから時間ができた、なので普段できない学びや自己研鑽ができ、新しい自分の能力開発へと一気に進める、やった!と思っていたのに、実質は全くできてない、イケてる自分にも変化してない、ということがフラストレーションになり、自分を知らぬ間に追い詰めていたようだ。

巣篭もり生活だからといって、自分の時間が一気に増えたわけではなかったのだ。

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2014年に購入した中古マンションをリノベーション。現在は仕事場に使っている。

さらに落ち込みながら考えた。変化のなかでどうすれば自分が幸せでいられるかを。結果、たどり着いたのは「理想を追い求めず、今を生きる」ということ。シンプルすぎる。面白くない。けど、真理だった。さらに「こんなはずじゃなかった、という思いを捨てる」「どう行動するかは全て自分の主体的意思で決める」などなど。

結局、コロナだろうが通常モードだろうが、やるべきことをやり、日常を積み重ねていくしかないのだ。自分への不満足のソリューションを、今と異なることをしたり、他の居場所に求めたり、新しい人間関係に求めても仕方がない。

そんな風に心持ちを変えたとたん、積極的にオンラインセミナーへの参加や、Zoomでの交流の誘いにも乗るようになった。閉じていた自分が、より自分らしさに目覚めたことでオープンになった感じ。

これまでも意思に忠実な生き方を実践してきたつもりだったけれど、まだまだ常識や周囲の声に動かされていたのだと思う。細い川の流れをさえぎっていた幾つかの大きな石が、コロナという濁流によって押し流れていき、結果、水の流れが一気に良くなったような心地よさを感じる。

今は気持ちも落ち着き、お気に入りの仕事場で、今やるべきことに専念しながら、アフターコロナの働き方、生き方について思いを巡らせている。それも他者視点ではない自分らしい観点と行動様式のもとで。

今日はしっとりとした曇りで、窓からの光は柔らかく心地よい。午後からも穏やかに過ごせそうだ。

 

あとがき:ひとつ前のエントリーを読み返したところ、自分の内側の気持ちに忠実に書いていない気がしたので、あらためてコロナによる自粛生活について現時点での振り返りを書いた次第です。