北白川の公園にて

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 トッキーの虫歯が酷くなったので早めに大学を出て歯医者に連れて行った。治療が終わって時計を見たらまだ4時。ふと気が向いて北白川の公園に向かった。

 それは白川通から一本西に入った住宅街にある児童公園で、敷地の真ん中にすり鉢状の滑り台があって、その周囲に数本の大木が生えている。あとは鉄棒とシーソーだけ。なんのへんてつもない公園だけど、場が発する気が良いようで、ことあるごとに引き寄せられてしまう。

 すり鉢状の滑り台はスリル満点。ハムスターになった気分で勢いよく鉢の端っこから端っこまでを駆け下りては駆け上がる。中央に向かって思い切り滑り降りる。スーパーマンのように頭を下にして、あるいは大文字になって身体を張ってすべる。5才児とふたり、はしゃぎながら遊んでいたら、下駄をはいたおじさんがこちらをずっと凝視していた。

 すり鉢の真ん中に寝そべって、しばらくそのまま空を眺める。秋の空はどこまでも秋の空らしく澄んでいて、視界には空と大木の枝葉しかなくて、滑り台はひんやりとすべすべと心地よく、そのまま空に吸い込まれて秋の空気に溶け込んでしまいそうだ。

 空を飛ぶ鳥たちは、ふだん行き先を決めて飛んでいるのだろうか。季節ごとに移動する渡り鳥たちは分かりやすいけれど、それ以外の鳥はどんなふうに日々の行動を決めているのだろう。生きる糧となる虫や実を獲るためには、行き先なんて考える暇はないのかもしれない。

 平日の公園であおむけになって空を眺めている私は何者なのだろう。社会とか世間とか、そういうところからはどんどん距離が開いてしまった。属しているようでどこにも属していない。いくばくかのお金をいくつかの事業所から受けとってはいるけれど、やっていることはビジネスの一端という感じではない。あえていうなら機織(はたお)りに似ている。ひとりでコットンカッタンと織っては、出来上がった織物を納めている。キャリアとかいう言葉にひかれない。美しいものには強くひかれる。好きな人たちのためには幾らでも心を砕くことができる。○○夫人とかの肩書きはいらない。いつからこうなってしまったのか。そういえばブログのタイトルは10年以上も前(※)からtapestryだ。

※ブログ以前はホームページ名。

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