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死んだ人からのメール

昨年の夏、お世話になった方が癌で急死しました。まだ60代の若さでした。

その人の死を知ったのは、その人から受けとったメールからでした。
正確にいえば、その人のメールアカウントを使ってご家族がメールを送ってこられたのでした。
びっくりした方、ごめんなさい。
でも、まさか本人以外の人が利用するとは予想しがたいケータイメールでの知らせだったので、かなりギョッとしたのは事実です。
おそらくその方の死後に、ご家族がありとあらゆる方法でその方の知人に死を知らせようとして、ケータイを紐解いて送信作業をされたのだと思います。

最後に私がその方にメールしたのは、亡くなる3ヶ月ほどだったでしょうか。「また一緒に食事できることを楽しみにしています」といったことを書いたおぼえがあります。
そのメールに返信する形で、ご家族から死亡の知らせが届いたのでした。私のiPhoneに。
今でもショートメールの記録をさかのぼると、その方とやりとりした幾つかのメールのログが残っています。そして、最新の一通だけが、異彩を放っています。

他の友だちや家族とのやりとりに埋もれて、死んだ人とのやりとりも、ログに残っている。
ふと、もう一度メールを送ったら、返事がくるかしら、などという思いがよぎる。
いやいや、きっともう電話は解約されて、そのアドレスも無効となっているだろう。

そういえば、誰かが「自分が死んだときに知らせる最も有効な手段はFacebookだろう」といったことをつぶやいていました。
自分の死後、どのようにして、知人に私の死が知らされるのでしょう。
私のメールは全て家族によって開封され、知らせるべき人、知らせる必要のない人の分類がなされるのでしょうか。

あくまで前を向いて生きており、死んだときのことなど考えたこともなかったけれど。
今日、たまたま息子と電車で遠出をしたとき、亡くなった方が入院されていた場所の最寄り駅を通過して、夏の思い出が蘇ったのでした。