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ワッフルメーカーとカリカリ

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長い間、箱に入れて放置していたワッフルメーカーを取り出した。
前夜、強力粉がなくてホームベーカリーでパンが焼けないことに気付いた。朝食をどうしようかと悩んでいたら、ふと頭によぎったワッフルメーカーの存在。
ネットで取り寄せたのが一年ほど前のこと。3000円ぐらいだった。一度焼いたけれど、あまり必要性も美味しさも感じずにそのままバックヤードの片隅におさらばしてしまっていた。
卵を泡立て、溶かしバター、砂糖を加え、薄力粉を混ぜ込んで、ガスで熱したワッフルメーカーに流し込む。待つこと3分。経験が浅い割には、うまく焼けて、家中に甘い香りが漂った。
朝から子ども部屋でプラレールあそびに興じていた息子が「お腹すいたあ」とダイニングに駆け寄ってくる。
「この、”あなあな”があいたパンはなあに?」と不思議そうにワッフルをつつく。2階の書斎で仕事をしていた夫も降りて来た。自然と全員で食卓を囲んで朝食タイムが始まる。
たっぷりのバターとジャムをぬって、焼きたてのワッフルを頬張る。
続けてミルクティーをすすると、至福の気分になる。息子も夫も「カリカリが美味しい」と、ワッフルの隅っこの部分を喜んで食べている。

カリカリといえば、夫と自転車雑誌の仕事をしていたときのエピソードを思い出す。
広島へレース取材に行って、宿の近くでお好み焼き屋に入ったときの話。夫とはまだつきあい始めてばかりだった。
カウンター席に座ると、店のおばちゃんが大きな鉄板で私たちのオーダーしたお好み焼きを焼いてくれた。さすがお好み焼きの本場、広島。お腹がすいていたので二人で夢中で食べた。
お客は私たちだけだった。おばちゃんが調理をした鉄板の上には、少なからず焼け焦げた生地の残りや、焼きそばの端切れがカリカリになって残っていた。それらをおばちゃんが手際よくヘラでまとめ始めた。
そして、鉄板の隅にある穴から下に通じるゴミ箱に捨てようとしたところ、「あ、それ良かったら僕に食べさせてください」と、彼が言った。
「え?こんなん食べるのか?」とおばちゃんがけげんそうな表情で聞いたところ「僕、カリカリのところがすごく好きなんです」とはずかしげもなく答える夫。おばちゃんは、いやがるどころか嬉しそうにイソイソと夫の皿に「はいどうぞ」とカリカリをよそい、無事にカリカリはゴミ箱ではなく夫の胃袋におさまったのだった。
そばで見ていた私は、一瞬おどろいたものの、さわやかな空気が自分の中を駆け抜けるのを感じた。その後は、ニヤニヤしながら、彼がうれしそうにカリカリを食べるのを眺めていた。はてなを始める2年以上前の話である。

ワッフルのカリカリが、昔の思い出がよみがえらせた冬の朝。
息子のリクエストにより、明日もワッフルを焼く事になっている。ワッフルメーカー、手放さなくてよかった。